世界を席巻する米国ビッグテック企業に集中投資し、S&P500やNASDAQを上回る高いパフォーマンスを目指す投資信託ファンド「iFree NEXT FANG+インデックス」について解説します。
FANG+とは
FANG+(ファングプラス)とは、Meta(旧Facebook)、Amazon、Nerflix、Googleの4社を中心に、世界が注目する米国企業10銘柄に均等投資する投資信託ファンドです。
インデックス投資で人気のS&P500やNASDAQなどは、実質FANG+銘柄が牽引していると言われており、S&P500からGAFAMやマグニフィセントセブン(M7)などに含まれる銘柄を除いたパフォーマンスはTOPIXと変わらないというデータもあります。
それならば、多くの銘柄に分散投資するより、市場を牽引する上位銘柄だけに集中投資してパフォーマンスを最大化させようというのがこのiFreeNEXT FANG+インデックスです。
ファンド概要
ファンド名 | iFreeNEXT FANG+インデックス |
---|---|
運用会社 | 大和アセットマネジメント株式会社 |
設定日 | 2018年1月31日 |
対象インデックス | NYSE FANG+指数 |
投資対象 | NYSE FANG+指数銘柄 |
信託報酬 | 0.7755% |
配当利回り | – |
決算日 | 毎年1月30日 |
NISA(つみたて投資枠) | 対象 |
NISA(成長投資枠) | 対象 |
ファンド情報 | 公式サイト |
構成銘柄
FANG+の構成銘柄は次のとおり。
FANG+ 構成銘柄 | 業種・セクター |
---|---|
Apple | 情報技術 |
Amazon | 一般消費財サービス |
Google(Alphabet) | コミュニケーションサービス |
Meta(旧・Facebook) | コミュニケーションサービス |
Microsoft | 情報技術 |
Netflix | コミュニケーションサービス |
Nvidia | 情報技術 |
Tesla | 一般消費財サービス |
Snowflake | 情報技術 |
Broadcom | 情報技術 |
Apple
アップルはiPhoneやiPadなどのデジタルデバイスを開発・販売するグローバル企業です。スマートフォンがコモディティ化する中、圧倒的なブランド力による差別化で、価格競争に巻き込まれず、高い利益率を誇ります。
近年はAppleWatchやVision Proなどの身につけるデバイスに注力したり、動画配信などのサブスクリプションサービスを展開するなど、自社製品のネットワークを活用したコンテンツサービスを拡大させています。
投資の神様、ウォーレン・バフェット氏のポートフォリオで40%以上を占める銘柄としても有名です。
Amazon
アマゾンは1994年に創業したインターネット・ショッピングサイト。最初は本をネットで買えるサービスでしたが、現在は家電・日用品・ファッションなど様々なものが購入できます。
現在はネット通販で抱えた会員向けに、映画が見れる「アマゾン・プライム」、音楽が楽しめる「アマゾン・ミュージック」、本が読み放題の「キンドル」など、サブスクリプション型のサービスを強化しています。
近年では、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)というクラウド分野の成長が著しく、利益では小売部門を上回る主力事業となっています。
Alphabet(Google持株会社)
アルファベットはグーグルの持株会社として2015年に設立。世界1位の検索エンジン「グーグル」などのサービスを展開しています。
メールサービス「Gmail」、地図情報の「グーグルマップ」、動画配信サイト「YouTube」なども展開しており、ネットサービスのインフラ企業として世界中で幅広いシェアを誇っています。
主な収入源はオンライン広告。ユーザーの行動や興味に合った広告を配信することで効率的な広告配信を実現し、世界の広告市場の大多数をグーグルが抑えています。
Meta(旧Facebook)
2004年に現CEOのマーク・ザッカーバーグが始めたサービス「フェイスブックス」が始まり。当初は学生だけが利用できるサービスでしたが、2008年に一般公開されてユーザーが爆発的に増加。世界最大のSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)となる。
現在は傘下の写真共有SNSアプリ「インスタグラム」が急成長し、フェイスブックのみに依存した収益構造ではなくなってきています。
2021年10月に社名を「メタ」に変更し、仮想空間「メタバース」に関連するビジネスに注力していく方針を発表しました。100億ドル(1兆円以上)をメタバース開発に投資し、5〜10年後の収益化を目指すとしています。
アップルが「Vision Pro」などのARデバイスを販売するなど、仮想現実の世界を見据えた商品・サービス展開は他社も行っており、今後注目すべき市場となっています。
Microsoft
マイクロソフトは1975年にビル・ゲイツ氏が創業したソフトウェア企業です。パソコン向け基本ソフト(OS)の「Windows」と「Word」や「Excel」などの業務ソフトは世界で圧倒的なシェアを誇る。
家庭用ゲーム機として「Xbox」などのエンタメ事業も展開しています。クラウドサービス「Azure」はアマゾンのAWSと並んで高いシェアを誇り業界2位に位置する。クラウド関連費用は高い利益率と年30%を超える成長率が予想され、中核事業として期待されている。現在はサービスのサブスクリプション化も進んでいる。
近年のAIブームで注目された「ChatGPT」の開発元である「OpenAI」にも出資しており、AI関連銘柄としても注目を集めている。
Netflix
ネットフリックスは1997年にオンラインのDVDレンタルサービスが始まり。2007年から月額会員制の動画配信サービスを開始した。
会員は毎月一定額の会費を支払うことで、テレビ・スマートフォン・パソコンなど様々なデバイスで映像コンテンツを視聴できます。米国では毎年数十万人がCATV(ケーブルテレビ)を解約して動画配信サービスに移行する傾向にあり、サブスクリプション制により安定した収入を得られます。
ネットのハリウッドを目指すとし、オリジナル作品の制作に力を入れています。制作費の予算総額はディズニーなどの巨大フィルムメーカーに遜色しない規模になっており、オリジナル作品の制作力を強化することで、他の動画配信サービスとの差別化を図っています。
Nvidia
エヌビディアは米国の画像処理半導体メーカーです。GPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)で高い市場シェアを誇り、パソコン市場のゲーム関連製品として売上高が増加した。
高度な映像処理の能力を必要とするゲームにて力を発揮し、パソコンゲームならず、Nintendo Switchなどの家庭用ゲーム機との協力体制も構築しており、ゲーム産業にかかせない存在である。
車載半導体にも強みがあり、同社の半導体の処理能力の高さは今後の自動運転技術やAI分野にも活かされることが期待されている。
Tesla
テスラは2003年にシリコンバレーのエンジニアが設立したEVメーカーです。EVを中心に持続可能なエネルギーエコシステムの構築を目指しています。
2016年には低価格・量産型EVの「Model3」を発表し人気の車種となりました。EVの代名詞として君臨していますが、近年は中国メーカーとの競合や、EVの実用性への疑問などから少し勢いに影を落としています。
Snowflake
スノーフレイクは2012年に創業のクラウドベースのデータウェアハウスを開発・提供する企業。企業にの様々なデータを一括で保管するシステムを構築し、それを迅速に分析・意思決定を可能にするツールを開発しています。
2022年12月19日に中国企業のバイドゥ(百度)が組入銘柄から外された際に、FANG+に新規採用されました。
Broadcom
ブロードコムはブロードバンド通信やネットワーク機器向けの製品を手掛ける最大手の半導体メーカーです。2019年にはサイバーセキュリティ大手「シマンテック」を買収、2022年にはクラウド技術大手「VMware」を買収するなど、大規模M&Aにてソフトウェア事業領域の拡大を進めています。
半導体部門とインフラソフトウェア部門を収益の柱としており、主要顧客にアップルなどがあり、5G関連部品について大型契約を結ぶなどしている。
M&Aを成長戦略の中核と位置付けており、今後の動向にも注目が集まっている。
定期リバランス(銘柄入替)
原則として、NYSE FANG+指数を構成する全銘柄に均等投資をしており、四半期(3・6・9・12月)ごとに等金額となるようにリバランスが行われます。なお為替ヘッジは原則として行われません。
またパフォーマンスに応じて、銘柄自体が入れ替わる場合もあります。
過去に外された銘柄には次のとおり。
銘柄入れ替え | 新規銘柄 | 除外銘柄 |
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2023年9月 | ・ブロードコム | ・アドバンスト・マイクロ・デバイセズ |
2022年12月 | ・アドバンスト・マイクロ・デバイセズ ・スノーフレイク | ・アリババ ・バイドゥ |
2021年12月 | ・マイクロソフト | ・ツイッター |
FANG+は集中投資なので「今の構成銘柄の成長が止まったらどうしようと」懸念する方も多いと思いますが、成長が鈍化した銘柄は定期リバランスで入れ替えが行われるので、今の構成銘柄の成長が鈍化しても、長期的に高いパフォーマンスを維持できることが期待されます。
まとめ
iFreeNEXT FANG+指数は、次世代テクノロジーをベースに、グローバルな現代社会において人々の生活に大きな影響を持ち、高い知名度を有する米国上場企業を対象に構成された銘柄指数です。
マグニフィセントセブンと呼ばれる米国ビッグテック企業を主軸に、勢いや成長力のあるトップクラスの企業のみに集中投資することで、S&P500やNASDAQよりも高いパフォーマンスを叩き出すことができます。
高い値上がりを期待できる一方、市況が悪い時の値下がり幅も大きいので、値動きの激しいファンドになります。投資を始めたばかりで、資産が値動きすることに慣れていない方にはおすすめしません。
一方、投資歴がそこそこあり、資産の値動きにある程度の耐性が備わっている方であれば「S&P500やNASDAQの株価を牽引しているFANG+銘柄のみに集中投資」という選択肢をポートフォリオに加えてみてはいかがでしょうか。