日興 Tracers S&P500トップ10インデックスが、毎年6月に実施する構成銘柄の定期入れ替えが行われたので、その詳細を確認します。
銘柄入替の概要
「S&P500トップ10指数」は、S&P500指数の構成銘柄のうち時価総額上位10銘柄の株式で構成する株価指数です。
それに従い「日興 Tracers S&P500トップ10インデックス」は年に1回、毎年6月に構成銘柄の見直しが行われます。
今回新たに追加されたのは、イーライリリー、ブロードコム、JPモルガンチェースの3銘柄。一方、除外銘柄は、テスラ、ユナイテッドヘルス、ジョンソンエンドジョンソン、ケンビューの4銘柄となりました。
追加銘柄 | 除外銘柄 |
---|---|
イーライリリー(LLY) | テスラ(TSLA) |
ブロードコム(AVGO) | ユナイテッドヘルス・グループ(UNH) |
JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー(JPM) | ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ) |
– | ケンビュー(KVUE)※ |
新S&P500トップ10指数の構成銘柄
新・構成銘柄
2024年6月24日時点の新・S&P500トップ10指数の構成銘柄は次のとおり。
銘柄 / 業種 | 構成比率 |
---|---|
マイクロソフト(情報技術) | 19.9% |
アップル(情報技術) | 18.0% |
エヌビディア(情報技術) | 17.4% |
アマゾン・ドット・コム(一般消費財) | 10.2% |
メタ・プラットフォームズ(コミュニケーション) | 6.6% |
アルファベット(クラスA)(コミュニケーション) | 6.3% |
アルファベット(クラスC)(コミュニケーション) | 5.3% |
バークシャー・ハサウェイ(金融) | 4.5% |
イーライリリー(ヘルスケア) | 4.3% |
ブロードコム(情報技術) | 4.2% |
JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー(金融) | 3.4% |
医薬品メーカーのイーライリリー、半導体のブロードコム、国際金融機関のJPモルガンが、S&P500トップ10銘柄に加わりました。
テック縛りのあるFANG+やUSテックTOP20にはない「ヘルスケアのイーライリリー」や「金融のJPモルガン」が入っているのが注目点です。
業種別構成比率
こちらは業種別構成比。
業種・セクター | 比率 |
---|---|
情報技術 | 59.5% |
コミュニケーション・サービス | 18.2% |
一般消費財・サービス | 10.2% |
金融 | 7.9% |
ヘルスケア | 4.3% |
依然としてマイクロソフト・アップル・エヌビディアの情報技術セクター御三家が全体の約6割を占めています。
2024年はAIブームが隆盛を極めており、AIサービスの提供に必要な半導体メーカーのエヌビディアに投資マネーが集中する状況が続いています。
しかし、AIが盛り上がる一方、どのようにマネタイズしていくのかは依然として不透明です。
19世紀のアメリカのゴールドラッシュでは、金を掘る人ではなく、彼らにツルハシを売った人が一番儲かったという話は有名です。
どのAIサービスがマネタイズに成功するか分からないから、AIで当てようとする企業ではなく、AIに必要な半導体を供給するツルハシ売りのエヌビディアに投資マネーが集まっているのが昨今の状況です。
AIブームが一過性で終わるのか、更なる発展につながるのかは、結局マネタイズ出来るかどうかです。莫大な電力の消費量に見合ったリターンが見込めるのか、今後の動向に注目です。
新規銘柄
新規で追加された3銘柄を簡単に紹介します。
イーライリリー
米国に本社を置くグローバル研究開発型製薬会社。
米オープンAIと提携し、生成AIを活用して薬剤耐性菌(スーパーバグ)感染症の治療に使用する抗菌剤の開発を発表したり、「ゼップバウンド」という肥満治療薬の売上が広がるなどで注目を浴びています。
肥満治療薬の成長期待などから、2017年末から現在までで株価は12倍近い上昇を見せている。
ブロードコム
米国を代表する半導体メーカーの一角。
2019年にセキュリティ大手「シマンテック」、2022年にクラウド技術大手「VMWare」などを買収。
半導体の開発・販売と、上記のようなインフラソフトウェアが2大収益柱。
インフラソフトウェアはM&Aにより事業を拡大、半導体ブームが衰退した時に備えて、サブスク収入の強化を意識しているように思えます。
JPモルガン・チェース
米国ニューヨークに本社を置く多国籍金融機関。
投資銀行、証券取引、資金決済、証券管理、資産運用、プライベート・バンキング、コンシューマ・コミュニティ・バンキングなど多岐にわたる金融サービスを提供する。
総資産、収益力、時価総額で世界トップクラス。
多くの日本の上場企業の大株主でもある。
まとめ
昨今は米国株の上位銘柄のみに集中投資するスタイルが浸透しつつある。
資本主義は突き詰めると「No1以外は不要」の世界なので、グレートリセットでも起きない限りこの傾向は加速しそうです。
他の集中投資ファンドはテック銘柄に限定したものも多いですが、こちらはS&P500銘柄の時価総額上位10銘柄を選ぶというシンプルな運用なので、金融やヘルスケアなども含まれるのが特徴です。
とはいえ、他の集中投資ファンドの上位銘柄と被っている銘柄も多いですし、運用ルールがシンプル故に信託報酬も0.10725%と安く、基準価額も11,000円程度なので今なら安く口数を集められます。
集中投資戦略にテック系以外の急成長銘柄を取り入れたい方や、S&P500のサテライトとして攻めのポートフォリオを加えたい方などにおすすめです。