アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信Dコース【毎月分配・利回り20%超】

高配当 ✕ 毎月分配の投資信託「アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信Dコース」について解説します。

高配当と聞くと、利回り3%や4%ぐらいをイメージする方が多いと思いますが、この投資信託ファンドは、毎月分配型で年間利回り20%以上を目指せる可能性もあります。

ファンドの仕組みや特性、リスクを十分に理解した上で、常識外れの高配当ファンドをポートフォリオに加えたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

ファンド概要

ファンド名アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジあり)予想配当金提示型
運用会社アライアンス・バーンスタイン
設定日2014年9月16日
対象インデックスなし(アクティブ)
投資対象米国大型グロース株
信託報酬1.727%(税込)
為替ヘッジなし
決算日毎月15日(毎月分配)
NISA(つみたて投資枠)
NISA(成長投資枠)
ファンド情報公式サイト

ファンドの仕組み

出典:アライアンス・バーンスタイン

投資家はベビーファンドである当投資信託のDコース(為替ヘッジなし)のファンドに投資をします。

Dコースのファンドは、マザーファンドである「アライアンス・バーンスタイン・米国大型グローズ株」に投資します。

マザーファンドは、為替ヘッジなしのCコースや、同シリーズの分配なし版であるA・Bコースのベビーファンドに投資された資金も集約され運用されます。

マザーファンドの投資先は成長の可能性が高いと判断される米国株式です。

NISAで投資する場合はEコース
出典:アライアンス・バーンスタイン

新NISAのルール上、Dコースのような毎月分配型はNISA口座で投資できません。ただし、隔月分配(偶数月分配)のEコースならこの条件に当てはまらないのでNISA口座での投資が可能です。

ポートフォリオの運用方針

ファンドの運用ルールを見ていきます。

運用プロセス

マザーファドである「アライアンス・バーンスタイン・米国大型グロース株マザーファンド」は、主として成長性が高いと判断される米国株に投資します。

基本的に信託財産の成長を図ることを目的に、ファンドのアナリストやポートフォリオマネージャーがファンダメンタルズ分析を基に積極的なアクティブ運用を行います。

運用体制
  • 高い利益率または持続的な利益成長の可能性が高いと判断される企業を発掘
  • 株価の値上がりが期待できる企業を選別するため、リサーチ・アナリストとポートフォリオマネージャーがボトムアップによるファンダメンタル分析を実施
出典:アライアンス・バーンスタイン

投資先はグロース(成長性)特性に絞り込んでいき、ファンダメンタルズ的な信用度やリスクを勘定しながら50〜70銘柄に絞り込んでポートフォリオを構築します。

投資銘柄のスクリーニングフロー
  • グロース特性に基づきスクリーニングされた300銘柄
  • アナリストによるファンダメンタル分析を参考にABの運用チームが100銘柄に絞り込み
  • 最終的にファンダメンタルズの信頼度とリスクを考慮してポートフォリオ銘柄を選定

S&P500をベンチマーク

アライアンス・バーンスタインはS&P500指数(配当込み・円ベース)をベンチマークとし、S&P500指数を上回るパフォーマンスを目指すとしています。

為替ヘッジなし

米国株への投資なので資産の基準価額はドル円の為替の影響を受けます。

ドル円が円安 → 基準価額が上がる
ドル円が円高 → 基準価額が下がる

ファンドの売却時は円建でしか受け取れないので、キャピタルゲイン(売却益)を考える際は為替も考慮する必要があります。

為替の影響を回避したい場合は、毎月分配で為替ヘッジがあるCコースという選択肢もあります。ただし、為替ヘッジコストがかかるので、Dコースに比べると値上がりや分配金は少なくなります。

ファンド為替ヘッジ分配
Aコース為替ヘッジ あり分配再投資
Bコース為替ヘッジ なし分配再投資
Cコース為替ヘッジ あり毎月分配
Dコース為替ヘッジ なし毎月分配
Eコース為替ヘッジ なし隔月分配

分配金の支払方法

賛否ある純資産からの分配

出典:アライアンス・バーンスタイン

毎月の分配金はファンドの純資産から支払われます。

「毎月分配の投資信託」と聞くと、投資元本を取り崩して分配金を出す「タコ足配当」のイメージが強く、投資を勉強されている方からは疎まれることが多いです。

このファンドは純資産から毎月の分配金を支払うので、分配金を支払った分だけ基準価額は下がってしまい、タコ足配当を恐れる方も多いと思います。

タコ足配当対策として、このファンドでは決算前の基準価額によって分配金を決定する予想分配提示型という仕組みを採用しています。

予想分配金提示とは?

目標とする分配金額が、基準価額の水準に応じてあらかじめ提示される仕組みのこと。

一定の基準価額を下回った場合は分配を見送ることで、元本を取り崩して分配を出し続ける状態になることを避けます。

基準価額が事前に決められた目標水準になった場合に分配が再開されます。

分配金の決定基準

アライアンス・バーンスタインDコースの予想分配水準は次のようになっています。

決算前営業日の基準額月の分配金
14,000円以上500円
13,000円以上〜14,000円未満400円
12,000円以上〜13,000円未満300円
11,000円以上〜12,000円未満200円
11,000円未満基準価額の水準等を勘定して決定

原則として、毎決算時(毎月15日・休業日の場合は翌営業日)に、計算期末の前営業日の基準価額に応じて、分配金の額が決定されます。

基準価額が11,000円以上なら200円、12,000円以上なら300円と、米国株の相場が良いほど毎月の分配金も上がります。逆に基準価額が11,000円を下回ると、運用益から分配金を確保できない可能性が高い為、基準価額の水準等を勘定して分配金を決定するとなっています。

過去の分配実績から見ると基準価額が10,000円以上なら100円の分配、10,000円を下回ると無配になっていることが多いです。なので基準価額が10,000円そこそこをキープしていれば、とりあえず無配にはならなそうです。

分配金を出す度に基準価額は下がるので、再投資型インデックス投資のような信託財産の成長は望めません。信託財産の成長を目指す場合はA・Bコースという選択もありますが信託報酬が高めなので、その場合は、FANG・USテックTOP20・S&P10などを選んだ方が良いと思います。

分配金と基準価額の関係

原則、分配金は計算期間中に発生した運用収益から支払われますが、運用収益を超えて支払われる場合もあります。その場合、当期決算日の基準価額が前決算日と比較して下落することになります。

下記がイメージ図となります。

出典:アライアンス・バーンスタイン

左図の場合だと、前期決算日の基準価額は10,500円。そこから計算期間中に運用益が50円発生したので、今期の基準価額は10,550円です。

100円の分配金を出す場合の内訳は、期間中の運用収益から50円、期間中の運用収益外から50円になります。期間中の運用外収益から50円を出しているので、分配落ち後の基準価額は-50円の10,450円となります。

期間内に毎月の分配金以上の運用益を出せていれば、分配後の余った金額はファンドに残るので、分配後も基準価額が前期決算日より高くなるので基準価額が上昇します。

つまり、決算日までの計算期間中に運用益を分配金以上にどれくらい出せるかがファンドの実力となってきます。分配金以上の運用益が出せないことが続くと基準価額は下落していきます。

普通分配金と特別分配金の違い

出典:アライアンス・バーンスタイン

運用収益から支払われる分配金を「普通分配金」と言い、元本を取り崩して支払う部分を「元本払戻金(特別分配金)」と呼びます。後者は俗に言う「タコ足配当」です。

たとえば、現在の基準価額が10,500円、平均取得単価が9,000円の場合。直近の分配金100円のうち元本払戻金が50円だった場合、分配後の基準価額は10,450円なのでタコ足配当にはなりません。

しかし、平均取得単価が10,500円だった場合、50円分はタコ足配当ということになります。

タコ足配当の確率を避ける為には、なるべく安い基準価額の時に口数を集める必要があります。

ただし、機会を伺っている間に基準価額がどんどん上がっていく場合もありますし、全額ならともかく分配金の一部が元金払戻金だった決算期が何度かあったとしても、運用益による分配金を含めたトータルリターンで見れば、基準価額が下がるのを待つより、分配をもらい続けた方が良い場合もあります。

  • 普通分配金
    運用益から支払われる分配金(課税対象)
  • 元本払戻金(特別分配金)
    投資元本から取り崩して支払われる分配金(非課税)
日経新聞に掲載

当ファンドは2024年6月に日経新聞でも取り上げられています。直近の年間配当2,700円はすべて運用益でまかなわれ、元本取り崩しは0%、分配金を含まない基準価額の年間リターンは19.9%と優秀な成績を収めている。

毎月分配型ファンド、元本取り崩しの分配金が縮小

2024年4月末時点では、残高首位の「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Dコース 毎月決算型 (為替ヘッジなし) 予想分配金提示型」の年間分配金2700円がすべて運用益となり、元本取り崩しの割合は0%だった。

円安も追い風にした運用成績の好調が背景にあり、分配金を含まない基準価格の年間リターンは19.9%と高い。上昇した基準価格が平均購入単価を上回っている中で分配したため、元本を取り崩すことがなかった。

引用元:日本経済新聞(2024.6.20)

直近の分配金推移

アライアンス・バーンスタインDコースの直近1年の分配金推移です。

決算日分配金決算日基準価額
2024/06/17400円13,034円
2024/05/15200円12,664円
2024/04/15400円12,444円
2024/03/15300円12,710円
2024/02/15300円12,740円
2024/01/15200円11,764円
2023/12/15200円11,372円
2023/11/15200円11,702円
2023/10/16200円11,247円
2023/09/15200円11,613円
2023/08/15200円11,594円
2023/07/15200円11,502円
合計3,000円
(年間分配金)
12,032円
(平均)

直近1年間の1万口(基準価額)あたりの合計分配額は3,000円。
毎月の決算日基準価額の平均価額12,032円に対して年間3,000円なので分配利回り24.9%になります。

上記の平均価額を基に投資金額ごとの年間分配金を算出すると

約120万円で年間配当30万円
約240万円で年間配当60万円
約720万円で年間配当150万円

1,000万円未満の投資額でかなりの分配金を得ることができます。
さらに高額な資金を投資できる方であれば・・・

約1,200万円で年間配当300万円
約2,400万円で年間配当600万円
約7,200万円で年間配当1,500万円
約1億2,000万円で年間配当3,000万円

1,200万円ぐらいを投資できる資金力があれば最低限の生活はできる分配金を得られます。2,400万円なら中堅会社員の年収分くらいの分配金を受け取ることができます。

一般的なFIREや配当生活では、利回り4%を目安基準として語られることが多いことを考えると、24.9%は異次元の利回りです。老後の資産形成の目標価額の常識がくつがえりそうですね。

しかし、高配当投資では分配金の安定性も重要です。

今後どのような分配金の変動リスクがあるか想定するために、過去の分配実績にも目を通しておきましょう。

毎月の決算日基準価額を12で割った価額を平均取得単価として保有口数に応じた分配利回りを算出

分配実績と利回り(2023年)

2023年(1月〜12月)の分配実績は合計1,600円(1万口あたり)
毎月の決算日基準価額の平均価額10,897円に対して保有口数別の年間分配金と利回りは次のとおり。

保有口数資産評価額月割分配金年間分配金分配利回り
1,000,000口1,089,700円13,333円160,000円14.6%
5,000,000口5,448,500円66,666円800,000円14.6%
10,000,000口10,897,000円133,333円1,600,000円14.6%
※月割は年間分配金を12で割る単純計算で算出

2023年のドル円相場(125円〜150円)

2023年の米国株は全体的に調子が良かったことや円安も重なり、年間の分配利回りは14.6%を実現しています。

無配当だった1月〜3月が足を引っ張っていますが、それでも残り9ヶ月間の分配だけで年間利回り14.6%を叩き出すのはかなり良いパフォーマンスだと思います。

分配実績と利回り(2022年)

2022年(1月〜12月)の分配実績は合計1,100円(1万口あたり)
毎月の決算日基準価額の平均価額10,405円に対して保有口数別の年間分配金と利回りは次のとおり。

保有口数資産評価額月割分配金年間分配金分配利回り
1,000,000口1,040,500円9,166円110,000円10.5%
5,000,000口5,202,500円45,833円550,000円10.5%
10,000,000口10,405,000円91,666円1,100,000円10.5%
※月割は年間分配金を12で割る単純計算で算出

2022年のドル円相場(115円〜150円)

2022年は利上げの影響により米国株のパフォーマンスが悪い年でしたが、それでも年間の分配利回りは10.5%でした。

日本株の高配当銘柄の利回りが3〜5%、米国株で6〜8%程度であることを考えると、全体の相場が悪い年でも10.5%という利回りは、かなり良いパフォーマンスだと言えます。

分配実績と利回り(2021年)

2021年(1月〜12月)の分配実績は合計3,300円(1万口あたり)
毎月の決算日基準価額の平均価額12,071円に対して保有口数別の年間分配金と利回りは次のとおり。

保有口数資産評価額月割分配金年間分配金分配利回り
1,000,000口1,207,100円27,500円330,000円27.3%
5,000,000口6,035,500円137,500円1,650,000円27.3%
10,000,000口12,071,000円275,000円3,300,000円27.3%
※月割は年間分配金を12で割る単純計算で算出

2021年のドル円相場(105円〜115円)

2021年は米国株の調子が非常の良い年でした。年間の大部分で基準価額12,000円以上を維持したので分配金300の割合が高く、年間分配金は1万口あたり3,300円と高く、年間利回りは脅威の27.3%でした。

最近の米国株は円安ブーストで円建の基準価額が上がってるという指摘もありますが、2021年のドル円相場は105円〜115円の間なので、円高になると高分配の基準価額を維持できないというわけではないと言えます。ドル円の為替よりもドルベース株価の調子が良いことが重要です。

過去の無配履歴

高配当を目当てに投資している方にとって最も困るのが「無配」になることでしょう。

タコ足配当と言われる元本払戻金(特別分配金)を避ける為、基準価額が11,000円を下回ると無配になる場合があります。ここで、過去に無配になった月数を年ごとに見ていきます。

無配月年間の無配月数
2023年1・2・3月3ヶ月
2022年3・5・6・12月4ヶ月
2021年無配月なし
2020年3・4月2ヶ月
2019年1月1ヶ月
2018年無配月なし
2017年4月1ヶ月
2016年1・2・3・4・5・6・7・8・9・10・11・12月12ヶ月
2015年9・10月2ヶ月

過去の実績を見ると、年12回のうち毎年1〜3回程度は無配になる月があるようです。

2021年のように米国相場の調子が良く無配月なしという年もあれば、米国の利上げにより相場がドルベースで不調だった2022年は無配期間が4ヶ月という時期がありました。

2020年は3月と4月が無配になっていますが、これはコロナショックの時期です。しかし5月には分配が復活し、そこから2022年2月までの22ヶ月間、無配になることはなく分配金を出し続けているので、分配の安定感はあると考えられます。

ただし、2016年のように年間を通じて無配となる年もあるので、そのような事態が起きる可能性があることも留意しておく必要があります。

とはいえ、個別株だと業績悪化で配当が年間を通じて無配、それが数年続くことも珍しくないことを考えると、個別株で配当株投資をするより、安定して高い利回りの分配を受け取り続けることができると考えられます。

デメリットとしては、個別株のような値上がり益が期待しにくい点です。

手数料

信託報酬1.727%

アライアンス・バーンスタインDコースの信託報酬は1.727%です。

信託報酬0.1%以下といった低コストのインデックス系ファンドが当たり前となった今の時代では非常に高いと感じる手数料です。

しかし、大事なのは手数料ではなくパフォーマンスです。

手数料以上のリターンがあれば良いわけです。

年間1.727%の手数料を負担しても、運用益で10〜20%を超える分配リターンがあれば十分と言えるでしょう。無配期間が続く可能性もゼロではありませんが、コロナショックや2022年の利上げ局面でも年間で10%以上のリターンだった実績を考えたら、あまり恐れる必要はないと思います。

まとめ

アライアンス・バーンスタインDは、毎月安定したインカム収入が欲しい方にとって非常に心強い攻めの分配型投資信託です。

予想分配金提示型という制度を採用することで、一定の基準価額を下回った場合は分配を見送ることで、元本を取り崩して分配を出し続ける状態になることを避けれます。

ただし、分配金はファンドの純資産から拠出されるので、取得単価が基準価額に近い、または下回っている状況だと、分配金に元本払戻金が含まれる確率が高くなることについては考慮しておく必要があります。

タコ足配当の確率を下げるには、なるべく安い時に口数を集める必要があります。基準価額が取得単価より下落した時は積極的に買い増しをし、取得単価を下げつつ口数を増やすことで、タコ足配当が含まれる確率を下げることができます。

タイミングを図る為に様子見を続けるのが得策とは限りません。

分配金を出す度に基準価額が下がるので基準価額の上昇スピードは遅いですが、S&P500をベンチマークとしているので、長期的には基準価額も上昇していくことが期待されます。時間軸を長く取れるのであれば、目先の基準価額はそこまで気にする必要はないと思います。

分配利回りは過去実績に基づくと年間10%〜20%程度はあるので、下手に個別株の配当銘柄を選ぶより手堅いと思います。個別株の配当利回りは日本株で3〜5%、米国株で6〜8%が相場なので、10〜20%の利回りを目指せるアライアンス・バーンスタインは個別株を上回るパフォーマンスを期待できます。

個別株に資金を集中させると、業績不振で無配となったり、無配期間が数年続くことも珍しくありません。アライアンス・バーンスタインは、2016年に1年間の無配期間もありましたが、それ以外の年で無配になる頻度は、過去実績ベースで年1〜3回以内がほとんどです。2020年のリーマンショックや、2022年の利上げによる逆風で無配になっても2〜3ヶ月で分配を復活させてるので、逆境にも強いアクティブファンドです。

配当株投資と聞くと値上がり益は期待できないと思われがちですが、基準価額の上昇は遅いものの配当を含めたリターンで見ればパフォーマンスはかなり優秀だと思います。

将来インデックスを自分のタイミングで利確する自信がない方や、定期的に利確してキャッシュを作りたい方は、資産形成期の方であってもポートフォリオの一部に加えるのもありだと思います。

NASDAQ100、FANG+、S&P500トップ10など「攻めの投資」と組みわせることで、資産拡大やインフレヘッジと、分配(利確)を並行しながら運用するというスタイルも面白いと思います。

目次